2007年09月05日

企業人よ家庭人であれ

社会保険労務士/キャリアコンサルタント 鶴沢芳彦さん


いま、巷でよく聞く「社員教育」。
これは単に企業のためにつくす社員を育てるためではない―
鶴沢さんが自身のキャリアを積む中で導き出した答えは
企業人を育てるノウハウではありませんでした。


■会社発展のために尽くした先にあったもの

社員が有給休暇を申し出たとき、会社は単に忙しいからダメとは言えない。
病気や怪我で入院を余儀なくされ、長期欠勤となった場合
4日目以降は健康保険から給与(標準報酬日額)の6割相当が支給される。
―あなたはご存知でしたか?

鶴沢さんは福岡大学を卒業したあと
その業界では日本最大手のある企業に就職しました。
そこで各地の営業所の運営、業績アップなどに責任を負う営業所の中心に。
同時に社員教育として知識、技能、応対マナー等の教育に力を入れ
職場の活性化に寄与してきました。

どうすれば社員の目的意識を高めて
業績に反映させることができるかを考え抜くと
社員が働きやすい会社経営ということに思いは至ります。
前述の有給休暇や傷病手当金などもそのひとつ。
社員の当然の権利なのに、会社側はその知識すらあやふやです。

会社側の意識を改革しなければ
本当の意味での業績アップは望めないことを痛感した鶴沢さん。
その上で、社員研修や自己啓発を促す制度を取り入れ
社員の能力アップによって会社の業績も伸びるという
基本的なことを行うのが大切です。

その後も労務関係の知識を蓄え、実践していく中で
「法律をもっと知らなければ」という思いは募っていきました。

そして自主退職という道を選び、かねてから考えの中で暖めていた
『社会保険労務士としての独立』に向けて行動を開始したのです。
最初、猛反対した奥さんの千恵美さんも
資格試験に向けて勉強する鶴沢さんのあまりにひたむきな姿を
ついに認めないわけにはいかなくなりました。
その結果、勉強を始めて5ヶ月で資格試験に合格。周りが驚くスピードでした。


■子どもを育てるために、大人が育つ

大きな会社の中で揉まれて身に着けた、仕事への厳しい姿勢。
全てを受け入れてくれた温かい家族の存在。
鶴沢さんが今までに得たものは計り知れません。

しかし周りを見回すと
いじめや家庭不和、若年層のニート問題等、気持ちのふさぐことばかりがあふれています。
この社会の中で何ができるのか。
それを今、鶴沢さんは自分に問うています。
今年、キャリアコンサルタントの資格も得て、いよいよその思いは強くなりました。

鶴沢さんが心を痛めるのは
ニートと言われる若者たちの希薄な経験、感受性、生き方そのものです。
またそのような若者に、夢を持てない大人たちが何も言えないことです。
そんな大人に育てられる子供たちは、甘やかされて人の痛みを知ることもできず
いじめの渦に巻き込まれていきます。

仕事、仕事で神経をすり減らし
ある意味育ちきれないまま大人になってしまった人たちへの社員教育とは
会社の役にたつ人間を育てることではないかもしれない。
「尊敬されるお父さん」へと教育することなのではないか。
家庭が充実してこそ仕事が充実し
会社の発展のみならず社会全体が大きく成長するに違いない。

鶴沢さんは自らの道をここに見出しました。
2月からはキャリアコンサルタントとして講座も開講する予定です
より良く生き、良い社会を築こうとする人を、一人ひとり増やしていきたい。
地道な活動になることは間違いありません。
鶴沢さんの最初一歩が、力強く踏み出されました。

(2006年12月)



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