2007年03月29日

プロフェッショナルを育てる    

建築模型スクール アトリエK/中野 和子さん

 昨年10月に開校した、建築模型製作を教える“アトリエK 福岡校”。主宰者・中野和子さんのしゃんとした背筋には、「プロを育てる」という使命感がにじみ出ていました。


【たたき上げのプロ魂】

 アトリエKにはテキストがありません。あるのは図面と模型の材料。そして、少人数制で、ほとんどマンツーマンに近い環境です。
 「プロの仕事というのは、一瞬だって気を緩めることはできません。身体で憶えなきゃ。テキストに頼っていたのではダメ。」
 中野さんにキッパリとそう言わせるのは、建築模型の世界で生き抜いてきた自分自身の経験です。
 模様替えが大好きな普通の主婦だった中野さんは、あるとき建築模型スクールの広告にハートを射抜かれました。しかし満を持してそのスクールに入学したものの、卒業したとたん途方に暮れました。「スクールを出ました」で仕事を得られるほど、甘い世界ではなかったのです。
 街で看板を見つけた模型会社に飛び込み営業。また、大手住宅メーカーの“インテリアコーディネート講習会”に潜り込むようにして、「模型、できます!」とアピール。活躍の場を一つ、また一つと必死に切り開いていく中で、中野さんは経験とスキルを積み重ねていきました。


【講師としての心意気】

 やがて仕事も順調になり、後進に指導する立場が多くなると、建築模型スクールが希求されていることに気づきます。しかし中野さんは、お茶を濁したような知識と技術しか教えられないスクールが、いかに多いか知っていました。本当の力を付けさせる必要性を感じたとき、自分が“卒業と同時にプロの仕事ができる人材”を育てようと決意。東京にアトリエKを立ち上げたのでした。
 図面を一枚渡されただけで、その建物の完成図をイメージし、立体的で精緻な模型を作ることを求められる、建築模型製作者。アトリエKでは、その実際の仕事と同じスタイルで勉強をしていきます。
 また、例えパソコンに触ったことが無い人であっても、CADまで出来るように育て上げます。中野さんに妥協はありません。
 ハウスメーカーや工務店の、営業ツールや顧客へのサービスなどに使われる建築模型。福岡でもニーズは高まっています。勉強したいという福岡からの問い合わせも多く、中野さんは福岡にもスクールを開くことに。昨年開校した福岡校の卒業生にも、いよいよ事務所を開く人が生まれました。


【温かさからネットワークが生まれる】

 営業のノウハウや、請け負いの料金設定など、一人前の模型作家として独り立ちするまで親身になって相談に乗る中野さん。卒業生の中には営業に出る勇気が出ないとき、中野さんから何度も電話をもらい、背中を押されて独立を果たした人も。
 たいていの卒業生は、初仕事の打ち合わせのあと中野さんのもとに立ち寄ると言います。その後もなにかと教室に顔を見せる人が多く、卒業生のネットワークで仕事のシェアなどもされているとのこと。東京校のシューズボックスには、卒業生の“マイスリッパ”がぎっしり並んでいます。
 「福岡の建築模型業界は、これからです。」と、中野さん。今までは地元での人材不足ゆえに、福岡の業者も東京に模型を発注していました。アトリエKの卒業生が、その状況を変えていくの間もなくでしょう。


この記事へのコメント
未確認情報によると、僕がここに載るのも
時間の問題だとか???
Posted by けんちゃん at 2007年04月01日 21:12
けんちゃんさん>
ぜひぜひ♪ 4月5日、楽しみにしてます!
Posted by 桑原美砂子 at 2007年04月02日 00:16
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。