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2007年09月06日

日々、楽しんでこそのライター稼業

シナリオライター 日野光里さん

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日野光里
SOHOライター、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント。シナリオを中心に、メルマガ・ウェブテキスト・コピー・小説など、あらゆるウェブ系ライティングを網羅する仕事ぶりは有名。と同時に、さまざまな交流会への出席率の高さも比べる者がないと言っていい。
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始めるにあたって、これといった元手のいらないライターという仕事。でもちょっと敷居が高いような気がするのも確かです。
シナリオライター・日野光里さんに、「今からライターを目指す人」にエールを送っていただきました。

―日野さんがSOHOライターを始められたきっかけは、ご自身をモデルにしたネット小説「ママはSOHOライター」に詳しく書かれていますね。

日野:最初に就職したのが広告代理店で、出産後に雑誌社に勤めました。いろいろな要因で、会社員としてライター続けることはできませんでしたが、ある意味それがSOHOという形態で働くきっかけを与えてくれたんです。

―SOHOライターとしての最初の仕事は。

日野:ある会社が募集していたメルマガライターでした。コンペ形式の募集でしたが、そこで選ばれたことで「あ、私の文章でお金が稼げるんだ」という自信を持つことができたんです。だから最初の頃はコンペ形式ばかりを狙っていました。「私にできるのはこういうことです。これでよければ、使ってください」と。そうやって実績を積んでいくと、それが仕事につながるようになります。
 自分では分からなくても、コンペで選ばれるならなにか光るものがあるに違いないと思うんです。そういう目をもって人を選定するのがプロの編集者だと思えば、選ばれた時点でもう自信を持っていいんですね。

―募集は東京など中央のものが多く、さらに「直接会える」ことが仕事を請ける条件ということが多いですね。

日野:ところが、今までの私の仕事はほとんどが東京の会社からのものですが、実際に会ったクライアントは数えるほどもありません。
 会ったことがあるかどうかよりも、本当に書けるライターに依頼したい。そう考えるクライアントはちゃんとあるし、SOHOという形態を考えるとそれが本当のような気もするんですが…。

―実力のある者が仕事を得る。考えてみればもっともな話です。その実力はどうやったらつくでしょう。

日野:「公募ガイド」(公募ガイド社)から始めるのがお勧めです。この本に載っている公募にどんどん応募して小銭を稼ぐところから。

―それ自体、少々ハードルが高い気もしますが…。

日野:いろいろなテーマの募集がある中で、みんなが応募しやすいものは、それだけ倍率が高い。ちょっと地味なテーマでも、自分にとって得意なもの、面白そうなものを選んで応募するんですね。どれが自分にとってねらい目かを見極めるのも実力の内かもしれません。それで賞を取ることができれば、自信がつきますよ。

―自分の得意分野を持つことが大切なんですね。

日野:たとえば、看護士さんだった人なら『医療系』、美容師さんだったなら『美容系』のライティング…など、元の仕事が大きく影響する場合もあります。
 逆に、いろんな職業を経験した人は、それなりの見る目を養っていると言えるでしょう。
 また、テーマには流行りすたりがあることも分かっておかなくてはいけませんね。自分の得意分野にこだわっているうちに、時流に乗り遅れることがないように。最前線の分野は何なのか、どのポイントに努力を注ぐべきかを見極めるのも、SOHO―個人事業主としての力量だと思います。

―時流を見極めるためには、どうすればいいでしょう?

日野:マッチングサイトをマメにチェックすることは大事ですね。今、どういう種類のライティングが求められているのか、募集内容をいつも見ていれば自然と飲み込めてきます。
またSOHOの交流会などの人が集まる場所へ積極的に出向くと、裏話などが聞けたりして面白いですよ。

―SOHO初心者にとって、交流会という場は非常に緊張するものですが…。

日野:自分を売り込もうと思うと、きっと力んで緊張してしまいますね。交流する場なんですから、ただ『しゃべりに行く』という感覚でいいんですよ。私は仕事と思って参加してはいません。楽しくおしゃべりしたり、おいしい物を食べたりしているうちに、自然と業界の今の流れが見えてくる…。
 まあ、もともと私は初対面の人と話をするのがまったく苦にならないんですが、こういうことが逆にストレスになるなら無理はいけません。ただ、せっかく参加したなら、壁の花になるのだけはもったいないですね。

―得意な分野が決まったとして、ライターを名乗る場合もう一つ気になるのが、自分の文章力です。

日野:小説家と違い、ライターの仕事にはいわゆる“文才”はあまり関係ないように思います。必要なのは、自分の周りの物事に興味を持ち、突き詰めて考えることができるという資質ではないでしょうか。要は、読むこと、考えること、書くことを心から楽しめるかどうか。

―その中で、文章も上達していくと。

日野:上手な文章って、読んで気持ちのいい、リズミカルな文章だと思うんです。リズムは体の中から湧き出てくるものですから、それには本をたくさん読むのが一番でしょうね。

―日野さんは、ご自分で「活字中毒者」と名乗られる程の読書家ですが、忙しい中でどうやって読書の時間を作っていらっしゃるのでしょう。

日野:お風呂に入りながら読むんですが…。
 私の場合、読書は食事や睡眠と同じくらい自分に必要なものなんです。だから本が読めない期間は、同時にお風呂にも入れない。それくらい忙しい時です。本に枯渇しながら仕事をして、ひと段落ついたら貪るように読みます。「読まなきゃいけない」のではなくて、「読まないと生きていけない」。やっぱり、好きだからこそなんですよね。
 孔子の言葉に「これを知る者はこれを好む者にしかず、 これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」※(注)というものがありますが、この言葉に尽きると思います。

―最後に、今からライターを目指す人に一言。

日野:ライターとしての眼で見れば、自分の周りの出来事はすべてネタなんです。それをただ単に知識として蓄えていてもしかたありません。
 「大切なのは、知識を使いこなす知恵を身につけること」―どこでどの知識を使うか頭がまわる人の方が、単にたくさんものを知っている人よりもライター向きだということです。

―身の回りの出来事を関心を持って見つめることができるのは、感覚のアンテナをピンと張っていてこそですよね。ありがとうございました。


※(注)「これを知る者はこれを好む者にしかず、 これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」…【孔子】
何事もそれを知っている人は仕事をよくこなしますが、その知っている人よりもこれを好きな人はもっと上手にやるよ、そしてそれを楽しんでいる人はもっと上をいくよ、という意味。


取材後記
体験から出た力強い話は、説得力満点でした。それに、話す言葉がリズミカル。言葉が内側から溢れ出すようにお話をされます。活躍の場を次々と広げている日野さんですが、取り澄ましたところのない、本当に気さくな人柄。人をひきつける文章を書く人は、やはり人間性も魅力的です。  


2007年09月06日

主婦、ママ、SOHOであることを強みにかえたい!

マーケティングプランナー 寺島みちこ さん


●寺島みちこ/マーケティングプランナー。
タウン誌編集長、アートディレクターとしての経験と実績を活かして
生活者の視点にたった提案を企業に送る。
OPEN TERASほか、SOHO・起業家の交流づくりも。
クチコミュニティ塾・公認インストラクター。

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手渡された二つ折りの名刺。
開くと、それをくれたのがどんな人で、何ができるのかがひと目で分かるように
プロフィールや業務内容が詳しく丁寧に書いてあります。
「ぱっと見てすぐ分かる、を、大切にしたいんです。」
そう言ってにっこり笑うのは、名刺の主
クリエイティブオフィス TERAS 代表 寺島みちこさんです。
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■みんなの喜ぶものを

 寺島さんの職業はマーケティングプランナー。「売りたい」企業と「利用する」消費者の仲立ちをして、どうすれば両者にとってより良い物を生み出すことができるか、日々考案しています。仕事をする上での信条は「みんなの喜ぶものを作りたい。」
 その視点から、営業、デザイナー、ライターなどさまざまな分野のプロフェッショナルを結び付けて、仕事をディレクションしていきます。
 「フリーのプランナー・ディレクターなんて、無理だよ。」
個人でこの仕事を始めようとしたとき、そう反対する声もありました。それでも「仕事をしたい」という寺島さんの情熱が消えることはありませんでした。

■SOHOスタイルとの出会い

 大学卒業後、就職したのはタウン誌の編集部。4年間の編集部生活で、物ごとに話題性を持たせるにはどうすればいいのか、周知させるためには何が必要なのか、交渉事はどう進めるのかということを体で憶えました。また取材を通して地域で何が望まれているのかということにおのずと敏感に。「地域のために」「みんなの喜ぶものを作り、広く知らしめる」というテーマが、寺島さんに確立したのはこの時期です。
 フリーライターに転身した後、知人の紹介で大手企業のアートディレクターという職に就きました。顧客の販売促進のために、本格的に企画・ディレクションを勉強。仕事にやりがいを感じて、これが自分の天職だと心に決めた矢先、結婚・出産という人生の大舞台に立つことに。そして夫の転勤。
 苦渋の決断で仕事を辞め、夫とともに広島へ引っ越したものの、仕事への思いは募るばかり。とはいえ、かわいい盛りの我が子を見ると、自分の手元で育てたいという気持ちは絶ち難く、仕事か育児かという迷いからストレスは溜まる一方でした。そんな時耳にした「SOHO」という言葉が、寺島さんにスイッチを入れたのです。7年前のことでした。 取る物もとりあえず、パソコンを一揃え買って自宅にセットし、「仕事をしよう」と決めました。営業するうち、広島に女性専門のマーケティング会社があると知り、アプローチ。これを機に、フリーのプランナー・ディレクターとして、女性客け販促プロジェクトを手がけていきました。

■リスクはチャンスを生み出す

 その後も転勤でたびたび引っ越す中で、やがて子どもは3人になりました。でもそれは寺島さんにとって、もはや仕事へのネックとはなりません。それどころか妻となり、母となったことで、「本当にいいものを伝えたい」という地に足の着いた発想が湧くようになりました。在宅でなら、どこに居ようと仕事は続けられるのです。
 もちろんオフィスワークと比べれば、できないことは山のようにあります。子育ては常に時間を細切れにします。営業に出ることもできません。では、どうすればいいか考えるのもディレクションです。自分では出来ない部分を、その道のプロとコラボして、結果を出す。その仕事のスタイルを、寺島さんは引越し、出産、育児を繰り返しながら確立してきました。

 寺島さんの夢は「九州から世界一を作ろう」。それは初めて就職したしたときから変わらない、「地域のため」という想いを形にすることです。「九州はいい素材がいっぱい。でも、ブランディング、商品づくり、PRが弱く、もったいない! クリエイティブ、マーケティあング力で、世界一の商品・サービスづくりのお手伝いがしたいんです」。 
自分にできるやり方で在宅で仕事を続け、コツコツと実績を築いてきた寺島さん。「SOHOであることを強みに! 個々の向上と、ネットワークこそ、地域、企業発展の原動力になるはず」。妻、母、SOHOであること全てを強みにかえて、夢の実現を目指しています。
  


2007年09月05日

美味しい和菓子を安心な手作りで

甘味材料屋 すかいSKY 店長  鶴好子さん


「安心して口に入れられて、本当においしいものをお届けします。」 
にっこり微笑む鶴好子さんは、
久留米市で製菓材料・機材などを取り扱う、『鶴商店』のおかみさん。
お菓子を手軽に作ることができる≪お菓子材料キット≫を考案し、販売しています。


わらび餅、大福、シフォンケーキ…。
パソコンのモニター狭しと並ぶ、お菓子の数々。
≪お菓子の材料キット≫を販売している
ネットショップ『甘味材料屋 すかいSKY』です。

例えば、今年の雛祭りシーズンのヒット商品
「もっちもち和風クレープ お雛様バージョン」の場合。
箱を開けると、国産薄力粉・白玉粉・国産つぶ餡・クルミ・抹茶・天然色素が
一つひとつ小袋に分けて入っています。

初心者でも、小袋を開けて混ぜ合わせ
箱に添えられたレシピを見ながら
美味しいお菓子を手作りできます。

どうせ混ぜ合わせるのに、なぜ種類別に分けてあるのでしょう。
材料を一つ一つ計って小さな袋に詰めるのは
本当に骨の折れる仕事です。
大手の会社のように全ての材料をミックスして売れば
どれだけ楽かわかりません。

しかし小麦アレルギーの子どもは
そのミックス粉を使ったお菓子を食べることができません。
ところが分別してあれば、小麦粉だけ米粉に差し替えることができます。
みんなで一緒に手作りのお菓子を楽しむことができるのです。

鶴さんは、そんな要望にも気軽に応じています。
そのため鶴さんのキットは、幼稚園・保育園や、老人ホーム、デイサービスなどで
レクリエーションの際によく使われます。
ミックス粉に比べて手作りの楽しさもひときわです。

材料は産地や生産者がはっきりした、安心・上質なものばかり。
小売店ではなかなか手に入らないような良い粉を惜しげもなく使っています。
評判は口コミで広がり、現在、多くの料理教室やパン作り教室でも利用されています。

 「卸問屋のおかみです。」―いまでこそ胸を張る鶴さんですが
そう言えるまでには葛藤がありました。
もともと大好きな仕事を持っていたのです。それは、ケアマネージャー。
介護を必要とする人たちのために、毎日一生懸命働いていました。

しかし3年前に訪れた人生の分岐点。
二代目を継ぐと決心した夫を支えていこうと心に決めて家業に入ったものの
倉庫いっぱいの商品名を一から覚えるところからです。
慣れない仕事に溜まるストレス。
配達の途中で見かけた、颯爽と働くかつての同僚の姿に
思わず涙がこぼれたこともありました。

それでも「これが私の決めた道」。
温かいご主人のまなざしに励まされながら
自分らしく、人に喜ばれる仕事を模索し続けた結果
たどり着いたのが『甘味材料屋 すかいSKY』でした。

材料キットを使う人々の楽しそうな笑顔は、今、鶴さんの誇りです。


(2007年 3月)  


2007年09月05日

情熱の営業プロデューサー

Office TANAKA 代表 田中美智子さん


田中さんの、どこまでも深く、広い「営業」にかける思い。
積極的な経営が認められ、筑後川を近く望む久留米のビジネスシーンの拠点
久留米ビジネスプラザの5階に2007年3月1日、事務所をオープンしました。


■営業でステイタスを上げる

入れ替わり立ち代り、来客の絶えない『Office TANAKA』の新事務所。
「私がクライアントの営業をするんじゃないんです。
営業ツールや顧客管理などで、当事者が気づかないような細やかなところまでアドバイスして
見込み客を顧客にするお手伝いをするのが私の仕事。」

事業の要となる営業を他人任せにしたのでは
本当の意味での発展はありません。
肝心なのは、自分たちの営業力をいかに鍛えるか。
そして他の人たちといかに関わり、力を借りながら
お互いにステイタスをあげていくかを考えるべきだと、経営者に知ってもらいたい。
それが田中さんの気持ちです。

「この人が成功するために、私にできることは何だろう。」
田中さんの真剣な思いに触れた人は、たちまち魅せられてしまうのでしょう。
男女を問わず、みんな「田中さん大好き」といった顔で事務所にやってきます。
迎える田中さんも心からの笑顔。
この事務所に座っていると、温かな人のつながりを肌で感じることができます。


■ひたむきな姿は周りを味方に

そんな田中さんも、最初から営業が大好きだったわけではありません。
もとは家事と育児にいそしむ専業主婦でした。
その頃の悩みは井戸端会議。
立ち話やお茶のみに何時間も費やす気には、どうしてもなれなかったのです。
毎日のようにお稽古事に通ったのも、ひとえにそれを避けたいがためでした。

そんな頃憧れたのが、ご近所の働く主婦の颯爽とした姿。
彼女が営業職だったことが、田中さんの営業人生の扉を開くことになりました。

就職した会社の社長は昔かたぎ。
約束を守り、人を大切にする、ということを基本に
徹底した現場主義を貫いていました。

その人にしかできない営業スタイルがあるはずと
マニュアルを作らない営業方針は、初心者の田中さんにとっては辛いものでした。
しかし「営業は信頼が全て」という姿勢を徹底して叩き込まれたその時期が
今かけがえのない財産となっています。

とはいえ、主婦が仕事をするのはたいへんです。
ともすれば滞りがちになる家事に、家族の反発がなかったといえば嘘になります。
しかし、最終的には久留米支店長まで勤めた後
起業した田中さんのがんばりを
じっと見守り続けたご主人は今やよき理解者。
新事務所立ち上げにも、惜しむことなく協力してくれました。


■夢の結晶『ファーマーズ・スタジオ』

もともと女性は、バイタリティーに満ちていると言っていいでしょう。
しかしそれをセーブしてしまう女性がたくさんいます。
営業について女性からの相談を数多く受けるうちに
田中さんはその状況をなんとか変えていきたいと思うようになりました。

田中さんが主宰する、『月いち・ピカいち・女性の会』
様々な業種で地道に活躍する、久留米の女性の集まりです。
互いに研鑽しあい、賢明な女性になろうと集まる女性たちのネットワークは
新しい事業展開をも生み出しています。

「ファーマーズ・スタジオ」もその一つ。
農家が自家用に作って食べきれないでいる安全・安心な作物を
食育を考えたメニューに仕上げる料理教室。
そこでは『女性の会』から生まれた知恵と人材が、生き生きと息づいています。
地域の農家や主婦たちを巻き込み、多くの人々の支えを得て展開するこの事業の未来は
「ファーマーズ・スタジオ」の建つ広大な田園風景のように明るく開けるに違いありません。
田中さんの夢がまた一つ、大きな実をつけようとしています。


(2007年 3月)  


2007年09月05日

穏やかな時をつむぐ

ビーズアクセサリー作家 大谷美紀 さん


◆出会いはふとしたきっかけ

大野城市の大通りに面したマンションの一室
大谷さんのご自宅がビーズアクセサリー講座の会場でした。

大谷さんがビーズアクセサリーを作り始めたのは5年ほど前からです。
「引っ越していく友人に手作りの物を」と作ってから、みるみるとりこになりました。
はじめは市販のキットを使っていましたが
すぐに飽き足らなくなり、本で好きなデザインを見つけては作るように。
やがて、デザインも自分で考えて設計図をおこすビーズアクセサリー作家として
周りに知られるようにになりました


◆人を惹きつける穏やかさ

自分だけの楽しみで作っていた頃
生協のサークルで講師を、と声をかけられました。
ビーズアクセサリー講師としてのデビューです。

講座は大人気で、その好評ぶりに教室が増えていきました。
学校行事や、大野城市が推進する「家庭教育学級」でも講座を開いています。
周りの声に押されて増えつつある教室は
大谷さんの穏やかさで、どこも和やかな雰囲気に包まれます。
取材の日に集った人たちも、ビーズを拾いながらリラックスした時間を過ごしました。


◆人と交わる楽しさ

教室には様々な年齢の人が集まります。
ご年配の女性がお孫さんへのプレゼントにと
苦労しながら作り上げたものを喜んで持ち帰るのを見ると
大谷さんも嬉しくなります。

以前はプログラマーをしていた大谷さん。
アクセサリーの設計にもパソコンを活用します。
それでも、ビーズを通して人と交わる楽しさを知った今、
プログラマーに戻ることはもう考えられません。

今後は専門的な知識を磨き、本格的な教室を開きたいというのが夢。
芽生えた可能性が、大谷さんの中で着実に育っています。


(2006年 11月)  


2007年09月05日

風と光が通り抜ける雑貨店

cafe & zakka Charm*/古賀 裕美さん


2006年7月16日
大宰府市都府楼南の鷺田川(さぎたがわ)のほとりに
『cafe&zakka Charm*』が産声をあげました。
地中海風の外観に誘われて店内に入ると
素朴なぬくもりを感じる雑貨たちが迎えてくれます。


◆ちいさな種

元はレストランだったこの建物。
古賀さんも客として食事に来たことがあり
真っ白な壁、高い天井、川に面したテラスなど
ヨーロッパの田舎風なつくりが気に入っていました。

カフェと雑貨の店として生まれ変わった今
建物そのものが持つ魅力がさらに引き出されることに。
柔らかな雰囲気に
訪れた人もいつの間にかゆったりとくつろいでいる自分に気づきます。

置かれたものの表情を生き生きと引き出す
天窓からの光が降り注ぐ店内。
この空間をいろいろな作家のギャラリーや教室として
積極的に活用してもらいたいと思っています。
多くの人の才能や可能性が集まり、そこから新しいことが花開いていく……。
Charm*がその最初の一粒の種でありたいと、古賀さんは願っています。


◆ひたむきな想い

もともとはデザインを学んでいた古賀さん。
ですが、19歳の頃から「いつか自分の雑貨店を持ちたい」と決めていました。
デザインの学校を卒業してそれを生かす仕事に就いたものの
すぐに「自分がやりたい仕事ではない」と気づかされることに。

本当にしたいことは何なのか。
好きなことと嫌いなことをすべて書き上げて、自分自身を見つめなおした結果
導きだされたものが“雑貨”だったのです。

「自分の雑貨店を持つ」と、目標を定めてからは
一つひとつ具体的に計画して実行。
骨董市の移動店舗で、自ら手塩にかけたミニ盆栽や、アクセサリーも販売しました。
地道に続けるうちにしだいに馴染み客も付き
機が熟してきたことを感じた古賀さんが、最初に思い描いた「自分の店」は
一人で開く小さな雑貨店でした。

ところがひたむきな想いで動く中で、状況は大きく動いていきました。
古賀さんの夢を知り
さまざまな形で手を差し伸べてくれる親戚や友人・知人が周りに現れたのです。
想像以上に大きな、現在の店舗を借りる話が持ち上がったときも
不安や戸惑いに揺れる古賀さんを、周りが励まし、支えてくれました。
多くの真心に支えられてこそ夢は実現するものなのだと改めて実感し
感謝のうちに開店の日を迎えることができたのです。


◆“やさしさ”を提供したい

「傷つけたくない真新しさ」よりも「使い込まれた温かい雰囲気」が好きな古賀さんは
訪れたお客様が、やさしい気持ちになるお手伝いをしたいと思っています。

各地の買い付け先で古賀さんが心惹かれた雑貨たちは
どれも人の手の温もりが感じられるものばかり。
カフェで提供するランチは、友人であるフードーコーディネーターがプロデュース。
野菜をふんだんに使い、身体にすんなり溶け込むソフトな味で
800円という価格が信じられない充実のメニューです。

本当に好きなものだけを店に並べ、それをお客様が気に入って買ってくださる。
また、風と光が通り抜けるカフェで、ゆったりと寛いだ時間を過ごしてもらう。
古賀さんの夢が形となった店が、やさしく息づき始めました。


(2006年 10月)  


2007年09月05日

企業人よ家庭人であれ

社会保険労務士/キャリアコンサルタント 鶴沢芳彦さん


いま、巷でよく聞く「社員教育」。
これは単に企業のためにつくす社員を育てるためではない―
鶴沢さんが自身のキャリアを積む中で導き出した答えは
企業人を育てるノウハウではありませんでした。


■会社発展のために尽くした先にあったもの

社員が有給休暇を申し出たとき、会社は単に忙しいからダメとは言えない。
病気や怪我で入院を余儀なくされ、長期欠勤となった場合
4日目以降は健康保険から給与(標準報酬日額)の6割相当が支給される。
―あなたはご存知でしたか?

鶴沢さんは福岡大学を卒業したあと
その業界では日本最大手のある企業に就職しました。
そこで各地の営業所の運営、業績アップなどに責任を負う営業所の中心に。
同時に社員教育として知識、技能、応対マナー等の教育に力を入れ
職場の活性化に寄与してきました。

どうすれば社員の目的意識を高めて
業績に反映させることができるかを考え抜くと
社員が働きやすい会社経営ということに思いは至ります。
前述の有給休暇や傷病手当金などもそのひとつ。
社員の当然の権利なのに、会社側はその知識すらあやふやです。

会社側の意識を改革しなければ
本当の意味での業績アップは望めないことを痛感した鶴沢さん。
その上で、社員研修や自己啓発を促す制度を取り入れ
社員の能力アップによって会社の業績も伸びるという
基本的なことを行うのが大切です。

その後も労務関係の知識を蓄え、実践していく中で
「法律をもっと知らなければ」という思いは募っていきました。

そして自主退職という道を選び、かねてから考えの中で暖めていた
『社会保険労務士としての独立』に向けて行動を開始したのです。
最初、猛反対した奥さんの千恵美さんも
資格試験に向けて勉強する鶴沢さんのあまりにひたむきな姿を
ついに認めないわけにはいかなくなりました。
その結果、勉強を始めて5ヶ月で資格試験に合格。周りが驚くスピードでした。


■子どもを育てるために、大人が育つ

大きな会社の中で揉まれて身に着けた、仕事への厳しい姿勢。
全てを受け入れてくれた温かい家族の存在。
鶴沢さんが今までに得たものは計り知れません。

しかし周りを見回すと
いじめや家庭不和、若年層のニート問題等、気持ちのふさぐことばかりがあふれています。
この社会の中で何ができるのか。
それを今、鶴沢さんは自分に問うています。
今年、キャリアコンサルタントの資格も得て、いよいよその思いは強くなりました。

鶴沢さんが心を痛めるのは
ニートと言われる若者たちの希薄な経験、感受性、生き方そのものです。
またそのような若者に、夢を持てない大人たちが何も言えないことです。
そんな大人に育てられる子供たちは、甘やかされて人の痛みを知ることもできず
いじめの渦に巻き込まれていきます。

仕事、仕事で神経をすり減らし
ある意味育ちきれないまま大人になってしまった人たちへの社員教育とは
会社の役にたつ人間を育てることではないかもしれない。
「尊敬されるお父さん」へと教育することなのではないか。
家庭が充実してこそ仕事が充実し
会社の発展のみならず社会全体が大きく成長するに違いない。

鶴沢さんは自らの道をここに見出しました。
2月からはキャリアコンサルタントとして講座も開講する予定です
より良く生き、良い社会を築こうとする人を、一人ひとり増やしていきたい。
地道な活動になることは間違いありません。
鶴沢さんの最初一歩が、力強く踏み出されました。

(2006年12月)
  


2007年09月05日

福岡県筑紫地区の情報ポータルサイト『ちくしなび』

FORSETWEB 代表  西森佳子さん


筑紫地区の情報ポータルサイト『ちくしなび』―。
「自分が住んでいる町のおいしい店を検索したけど
これといった情報が見つからないんです。じゃあ、作ってしまおうと…」
と語るのは、このサイトを立ち上げた西森佳子さん。
今回はweb制作会社『FOREST WEB』の経営者で
地元・那珂川を含む筑紫地区をこよなく愛する西森さんの登場です。


◆ウェブの世界で生きる予感

 もとは、ある企業でホームページのチェックを担当していました。
そのうちサイト作りに興味を持つようになり
会社を退職して職業訓練校でウェブ制作の基本的な技能を習得。
そして、順当な道として何社かのウェブ制作会社に求職活動を。
しかしそこで直面したのは、ウェブ制作現場の厳しい現実でした。

「実績もないのに、うちでは使えない。」
「締め切り前には、帰りが何時になるかなんて分かりませんよ。」

そんな言葉の前に、主婦がウェブ制作に携わるならSOHOしかない、と思った西森さんは
自宅で下請けの仕事をコツコツと請負い始めました。
「はじめは、お小遣い稼ぎ程度のつもりだったんです。」

それが、しだいに同業者同士のつながりができて仕事をシェアするようになりました。
人とのつながりにつれて仕事が増え
西森さんの仕事に満足したお客様からの紹介でまた広がる…。
自社のホームページからの問い合わせも入るようになりました。

やがて、時間的にも仕事の効率を考えても自宅を仕事場とすることに限界を感じ
事務所を構えることに踏み切ったが2006年。
柳谷さん、不老さんというスタッフも迎え入れました。

事務所があれば、打ち合わせをする場所を探さなくてもいい。
スタッフがいれば、自分が打ち合わせしている間にもちゃんと仕事が進んでいる。
そのありがたさを今、身にしみて感じています。

「そういえば10年前になんとなく
将来インターネットに関わる仕事をする気がしてたんですよ。
なんの根拠もなかったんですけど。」
気がつけば予感どおり。運命のめぐり合わせを感じさせます。


◆一生懸命を応援したい

FOREST WEBの事務所を訪れると
すぐに目に飛び込んでくる、玄関に置かれた『博多んぽん酢応援隊』のカード。
大宰府市で作られている、100%手作りにこだわったポン酢です。

「材料を刻むところから、一切機械を使いません。
こんなにおいしいポン酢を、25年間真心込めて作るおじさんとおばさんを
どうしても応援したくって」
運営する『ちくしなび』で、今一番大きく大きく取り上げています。

この『ちくしなび』は現在ほぼボランティアとしての活動ですが
ここで広がった人脈から仕事が生まれることも。
とはいえ、このままずっとボランティアで、というのはやはり難しいようです。
今後どうやってこのサイトを「仕事」にしていくか。それが課題です。

一生懸命がんばっている人を、お店を応援したい。それは止むにやまれぬ西森さんの心情です。
そしてそれはFOREST WEBの仕事ぶりにも現れます。

「作ってもらったホームページから、お客さんの問い合わせが来たよ!」
「商品が売れたよ!」
「ホームページをリニューアルして、売り上げが倍増した!」
クライアントからそんな声を寄せられるたびに
二人のスタッフと手を取り合って小躍りする西森さん。

時には、わがままとも言えるクライアントの要望で
ほとんどできあがったサイトを一から作り直し、という事も。
そんなときは、契約書の大切さを思い知ることになります。

それでも自分の仕事が人に喜ばれると嬉しい。
単純なようで難しいそれこそが、西森さんの仕事への原動力なのです。


(2006年12月)  


Posted by 桑原美砂子 at 15:20Comments(0)FORESTWEB 西森佳子さん

2007年06月10日

子どもの心に栄養を

子どもの本専門店 エルマー 代表
子ども文庫読書サークル連絡会 会長  前園敦子 さん


 6年前(2001年)、「子ども読書推進法案」が国会で可決され、全国に読み聞かせ運動が広がりました。子どもを育てるお母さん達の、本の大切さを訴える声に呼応して、行政ごとにブックスタート運動も繰り広げられています。しかし前園さんは、19年も前からずっと春日原に子どものための書店を開いています。
 子どもを取り巻く殺伐とした話が絶えない昨今。この子たちの心を耕すことができるのは、間違いなく読書です。天井までぎっしり本が詰まった本棚に囲まれて、前園さんはその思いを語ってくれました。

 街に立ち並ぶ大型書店は、多種多用な本を取り揃えています。インターネットでは、どんな本でもクリック一つで手にはいる時代になりました。ところが、あふれる情報の中で、子供たちはどんな本を選べばいいのか分からなくなっています。子どもの本に関する専門的な知識を豊富に持ち、自信をもって何がいいか薦められる書店が、今、必要とされています。前園さんはエルマーにやってくる子どもに、「最近、どんな本を読んだの?」と話し掛け、会話の中でその子にふさわしい本を薦めます。
 読書は即効性のあるものではありません。しかし長い目で見たとき、本を読む子どもの心は確実に成長していきます。そのためには、専門家だけでなく、親の力が必要だと前園さんは言います。マンガを含めて、いま我が子がどんな本を読んでいるか知り、本への興味を更に引き出すことができるのは、ほかならぬお母さんだからです。

 前園さんを貫く「子どもの心の成長には良書がぜったいに必要」という思いに、多くの人の賛同の輪が広がっています。それは、前園さんが書店の経営とともに力を注ぐ、子どもの読書を推進するためのボランティア活動を支えています。
 現在、6つの読書会を主宰する前園さん。それぞれの会で活動するボランティアは、みんな違う人達です。
「関わる大人が大勢いるって、子どもにとって幸せなことですよね。」
 このような『町の本屋さん』が普通に成り立っていく社会でなら、きっと子どもの心は潤うに違いない―。そう思わずにいられません。
子どもの本専門店 エルマー



子どもの本専門店 
           エルマー    

  春日市春日原東町3-16
  092-582-8639
  第2火曜日 定休日  


2007年03月29日

プロフェッショナルを育てる    

建築模型スクール アトリエK/中野 和子さん

 昨年10月に開校した、建築模型製作を教える“アトリエK 福岡校”。主宰者・中野和子さんのしゃんとした背筋には、「プロを育てる」という使命感がにじみ出ていました。


【たたき上げのプロ魂】

 アトリエKにはテキストがありません。あるのは図面と模型の材料。そして、少人数制で、ほとんどマンツーマンに近い環境です。
 「プロの仕事というのは、一瞬だって気を緩めることはできません。身体で憶えなきゃ。テキストに頼っていたのではダメ。」
 中野さんにキッパリとそう言わせるのは、建築模型の世界で生き抜いてきた自分自身の経験です。  続きを読む